ウェブのこと

Webサイトの役割を考える(3/3)

Webサイトの役割を考える(3/3)

続きにつ続いて第3回目。前回は、Webサイトの強みが有効に機能しない方々がいるということについて書きました。で、その解決方法として、ソーシャルメディアや広告メディアがいいというところで次回へ続く、となった次第です。
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ソーシャルメディアは今でも変わらずなかなか有効なメディアです。なんと言っても、閲覧者側が積極的に欲していない時にもその情報をその相手に届けることができるという点は見逃せません。
本来ソーシャルメディアとは、コミュニケーションを通して相互の親和性を高め、その結果としてのアクション可能性をアップさせるというところに最大の効力があるものという認識でしたが、実のところなかなかそこまではたどり着きにくく、そのためにもさまざまなノウハウを駆使する必要があったりします。
しかしその全然手前の過程で、実は上記のような効果もかなり見込めるということが明らかと思います。

要は、その人自身は〇〇ということに対して普段まったく意識はしておらず、むしろ忘れているという状態にありますが、日常見ているソーシャルメディアにその〇〇の情報が出てきたことがトリガーとなってそのことについて考えるようになり、もう少し深掘りしたくなったりするという効果です。
これはWebサイトにはできないことですね。そういう意味では、これまでのさまざまな広告物に似ているかもしれません。もっとも最近は、閲覧者の意識も随分と変わってきましたし、ソーシャルメディアという空間の特性もあって、単なる広告的な表現では同様の効果を得ることはなかなか難しいというのも事実とは思いますが。
ただここに、Webサイトではできないことを補完し、Webサイトを有効活用できる鍵があるのは事実と言えるでしょう。

「そんなのソーシャルメディアだけで行けちゃうじゃん」
という声も聞こえてきそうです。確かにそれも一理。実際、Webサイトを設けずに、ソーシャルメディアを駆使してその機能を補完し、なんとかうまくやれてしまう方法はあります。
しかしそれでもWebサイトほどの利便性は確保できないというのが正直なところ。それは、現在あるソーシャルメディアのほとんどが、各コンテンツへの導線をカスタマイズすることについて、限定的な機能しか持っていないということに起因すると言っていいでしょう。
つまり、ソーシャルメディア内に掲載したコンテンツは、広くいろいろな方の目に触れるようにすることは得意でも、ある固定した情報に対し恒常的にアクセスしていただくための導線をキープするということには向いていないというのが現状です。
さらに、ソーシャルメディアを見る方々はどんな方たちでしょう。きっと、自分のタイムライン上にある多くの情報を、とにかくスピーディーにザクッと見たいと思っていることの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。つまり、ソーシャルメディア上で長文を読むということにはなかなか抵抗がある、ということと思います。だから大量の情報をきちんと伝えることには不向きということですね。

つまりこれがソーシャルメディア側のメディア特性...あれ? ここは逆に、Webサイトが得意な領域だったような?...そのとおり。Webサイトは、ソーシャルメディアが得意な分野が不得意で、逆に、ソーシャルメディアが不得意とする分野が得意という、実に相性のいい組み合わせということになります。
随分と長くなりましたが、ようやくWebサイトの役割の一つが見えてきましたね。
つまり、ソーシャルメディアや広告メディア等で広い間口を作り、その詳細情報をきちんと知って理解していただくための情報の受け皿としての役割をWebサイトが担う。こういう方法が有効そうだなということと思います。
だったらWeb戦略はあれを使ってこれを作って...。そんな風に考えていくといいと思います。

とにかくそのベースにあるのは、Webサイトをどのような役割のメディアとして活用するかという考え方。単に、たまたまアクセスしてくれる不特定多数のための会社や商品のパンフとして置いておくのではなく、もっと能動的な役割を担うものとして考える。そうすることで、さらに意味のあるWebサイトを作っていくことができるようになるでしょう。

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単行本: 224ページ
出版社: MdNコーポレーション
発売日: 2015/4/27
価格 :2,160円(税込み)

主なコンテンツ内容
・序章:Web担当者の仕事
・第1章:設計 - 目的と役割を明確にする
・第2章:発注・見積り - Web制作会社を見極める
・第3章:制作 - 円滑なプロジェクト管理を行う
・第4章:ソーシャルメディア - Webサイトとの連動による相乗効果
・第5章:運用・効果測定 - Webサイトは公開してからが本番