よまいごと

紫水の曲が不思議に聞こえるのは12弦ギターのせいじゃないよ

紫水の曲が不思議に聞こえるのは12弦ギターのせいじゃないよ

時々言われる。
「やっぱり12弦ギターだと不思議な響きになるねぇ。」
それに対してはたいていこう応える。
「あ、そう聞こえます?(笑)」
私が弾き語り等で使っているギターは、Simon&Patrick社というカナダのメーカーの比較的安物の12弦ギター。15年ほど前、都内でよく路上活動をしていたころに買ったものだ。
12弦ギターというからには弦が12本張ってある。そして、通常の6弦ギターでいうところの6弦に対し、3弦G、4弦D、5弦A、6弦Eに対してはそれぞれオクターブ上、1弦E、2弦Bに対してはユニゾンの弦が張ってあり、それを原則として6弦ギターと同じ弾き方で弾く。だから、通常の単音弾きでも2本の弦が鳴り、オクターブやユニゾンの音が聞こえているという次第。

だから確かに音の広がりがいい。
でも不思議な響きはしない。なぜならチューニングは、通常のレギュラーなチューニングをしている限り普通のギターと変わらないからだ。つまり、Cコードをジャランと鳴らせばCコードの属性音しかしない。それが普通の6弦ではならないオクターブなども聞こえるから広がって聞こえるという感じ。
じゃあなんで不思議な響きがするのか。答は簡単、ちゃんとコードを押さえてないから。
だからつまりテンションな音が混じっていることが多いということ。例えばFコードの場合、普通に押さえれば1弦から順にF-C-A-F-C-F(で合ってるよね?w)という音が鳴るが、私はそう押さえていない。だからこんな響きになっている。
E-B-G-F-C-F。
こうやって改めて書いてみると我ながら変なコード。Fをベースと考えれば、Eはメジャー7thと言えるからいいとして、Gは9th? Bは11th?...まぁ実は使ってる本人も厳密にはよく分かっていなかったりする。
他のコードでも同じ。9thやメジャー7thなんかが混じっていることが多い。時にはm9とか...半音隣って...というような。
結果不思議な響きになる。で、それが個性的と受け取られたりする(逆に気持ち悪がられたりもするけど)。
つまり、トニックから始まってトニックで終わる、フォーマット的にはポピュラーな曲を演奏するとしても、こんな感じでちょっと響きを考えてみると面白くなるからやってみるといい。それも、80年代〜90年代に散々使われた、トニックコードにプラスメジャー7thのような、既に既聴感たっぷりの響きではなく、今までならあまりいじらなかったサブドミナントのコードとかをいじっちゃってみると面白い。間のコードをどんどん代理コードに展開していっちゃうとかね(つまり1番と2番で、歌メロは一緒なのにコードが違うとかw...そういえばこれはさすがにやったことないなぁ...面白いかも...今度やってみよう)。
つまり、不思議な響きは、12弦ギターではなく、6弦ギターで弾いたとしても多分感じる(はず)ということ。まぁ、12弦のようにたくさんの音がしない分、その不協和音感が強調されちゃうかもしれないけど。

上記の変なFコードを使ってる曲。
居待月『たいおん』。
https://itunes.apple.com/jp/album/taion/id834319168?i=834319209
『たいおん』はYouTubeでも聞けます。随分昔の弾き語りライブですけど。
http://youtu.be/HLso-w7GBsA

こちらの曲もベースは3コードなのに変な響き系。
居待月『月光浴』。
https://itunes.apple.com/jp/album/yue-guang-yu/id834319168?i=834319202