写真のこと

28mmで一歩寄れ

28mmで一歩寄れ

居待月・カルロス氏からキヤノンEOS620をいただき、喜び勇んで写真を撮りまくっていた私。しかし全然思い通りの写真を撮ることができない。しかも、写真を撮ることに対しての知識もなかったので、なんで撮れないのかがまったく分からないという状態にあった。で、やったのが、当時仕事で一緒になる機会の多かったプロカメラマンの方々に根掘り葉掘り聞くという...相手から見たら随分と迷惑な手法。
その中にとっても親身に教えてくれる方がいました。
「清水さんはどんな写真が撮りたいの?」
聞かれた私は、あんなのこんなのと話しながら、その場で、仕事の撮影用に用意した私の手描きの絵コンテの脇に絵を描いてみたりしました。
それを見たその方はサラッと言いました。
「ああ...それは広角レンズだねぇ。」
「それを撮るには多分24mmくらいのレンズが必要かも。」

聞いた当時の私はとっても素直でした。
「24mmですか! じゃあ買ってきます!」
それを聞いたその方はニヤリと笑いながらこう言います。
「じゃあとりあえず28mmを買ってください。それもズームレンズじゃなくて単焦点がいいです。」
「単焦点?...なんでですか?」
その方はさらにニヤリと笑います。
「それはね...。」
単焦点とは、そのレンズが持つ画角1種類のみしか撮れないということ。つまり、そのレンズで撮るためにちょうどいい被写体との距離感が1種類ということになる。だから、そのレンズでうまく撮る方法が自然と身につくのだとのこと。特に私が欲しがっている絵は、広角レンズによって実現するものだったから、つまり「足」や「身体」を使って被写体との距離を作らなければいい写真にはなりにくいとのことで、それを覚えるにはこのレンズがいいのだと言った。
「でね、コツは、さらに一歩グイッと寄ることですよ。」
自分でこの辺かなぁと思ったところよりも、さらに一歩寄れと言う。そうすることで、その時私が絵で描いたような写真が実現するのだそうだ。
「とにかくしばらくはこれをやり続けてみてください。そしたらね、上手くなりますよ。」
言ってその方はさらにニヤリと笑った。
そこで私が購入したのがキヤノンEF28mm F2.8。
なんでこのレンズにしたかって...当時割りとお手頃価格だったから、という情けない理由が実は第一だが、その割りにそこそこ明るいし、レンズ自体も小さいので機動性がいい。で、これにしたという次第。
実はこのレンズ、20年の時を経て今でも使っていたりする。もう古いレンズなので、オートフォーカスのモーター音はうるさいし遅いし、まぁさすがにどうかなと思う時もなくはないのだが、やはりいろいろな場面で重宝する。
正確には一時期、EOS KISS DIGITAL(初期型)やEOS50D等を使っていた頃は、そのセンサーサイズの関係から物足りなくなって使わなくなってしまっていたが、フルサイズのEOS6Dを使うようになって復活した。
そしてこの、
「さらに一歩グイッと寄る。」
は、今でも心がけていることだったりする...なんて...最近足腰が弱って、少し前より寄りが甘いかもという反省もなくはないのだが...。

後継にあたる(んだろうと思うんだけど)EF28mm F2.8 IS USM。
これがけっこう評判がいい。
http://cweb.canon.jp/ef/lineup/wide/ef28-f28-is/

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